
家が完成したあと、何気なく天井を見上げることはあっても、
「この板は、どうやって貼られたんだろう」
と考えることは、あまりないかもしれません。
今回施工したのは、杉の無垢材を使った天井です。
一本一本違う木目。
少しずつ違う色合い。
自然の木だからこそ生まれる表情を見ながら、一枚ずつ天井に貼っていきます。

一本一本違う杉の表情。無垢材だからこそ生まれる天井です。
でも今回、見ていただきたいのは杉板だけではありません。
天井を見ると、途中に四角い開口があります。
「これは何だろう?」
と思われる方もいるかもしれません。
実はこれ、冷暖房の風を各部屋へ送るための吹き出し口です。

杉板の天井に設けた四角い開口。ここが冷暖房の吹き出し口になります。
エアコンを各部屋に付けないという考え方
この家では、小屋裏に設置するエアコンからダクトを通し、各部屋へ冷暖房の風を送る計画になっています。
つまり、各部屋にエアコンを何台も設置するのではなく、家全体をひとつの空間として考える冷暖房の仕組みです。
では、なぜそんなことができるのか。
その考え方を支えているひとつが、以前ご紹介したデコスドライ工法による断熱施工です。
断熱性能をしっかり考え、外の暑さや寒さの影響を受けにくい家をつくる。
その上で必要な冷暖房能力を計算し、小屋裏のエアコンから各部屋へ空気を送ります。
「暑くなったら大きなエアコンを付ければいい」
ではなく、
そもそも外の暑さや寒さの影響を受けにくい家をつくる。
家づくりでは、この考え方がとても大切だと思います。

杉板を貼る前の天井。完成すると見えなくなる場所に、家の快適さを支える仕組みがあります。
四角い箱も、現場でつくっています
こちらは吹き出し口になるための箱です。

ダクトを接続するための吹き出し口。天井の納まりに合わせて製作しています。
丸く開けた穴にはダクトを接続。
そこから冷暖房の風を各部屋へ送ります。
そして、この箱を天井下地の段階で取り付けておきます。

天井を貼る前に吹き出し口の位置と納まりを確認。後からでは見えなくなる大切な工程です。
杉板を貼ってから考えるのではありません。
天井下地の段階で位置を決め、ダクトの接続や杉板の割り付け、その後の仕上がりまで考えて施工していきます。
完成すると見えるのは、小さな吹き出し口だけ。
でも、その小さな開口ひとつにも、下地の段階からの準備と納まりがあります。
見た目の先にある「暮らし」まで考える
杉板の天井を見れば、
「木の天井、きれいだな」
と思っていただけるかもしれません。
もちろん、それも大切です。
ただ僕たちがつくっているのは、天井だけではありません。
その家で、夏をどう過ごすのか。
冬をどう過ごすのか。
毎日の暮らしが少しでも快適になるにはどうすればいいのか。
見える仕上がりと、見えなくなる仕組み。
その両方を考えながら、一つひとつ施工しています。
完成したら見えなくなる仕事だからこそ、こうして現場の途中も残していきたいと思います。
家は、完成した姿だけでは分からないことがたくさんあります。
新杢創は、その「見えなくなる部分」も大切にしています。
新杢創
福岡県八女郡広川町を中心に、八女市・久留米市・鳥栖市周辺で、住宅リフォーム・リノベーション・木を活かした住まいづくりを行っています。
お家のお困りごとや、木を取り入れたリフォームなど、お気軽にご相談ください。